インド大使館主催「インドの叡智を、現代に生きる」開催
― 国際ヨガデーに向け、インド哲学と瞑想の智慧を体感 ―

2026年5月19日、駐日インド大使館において、特別イベント「インドの叡智を、現代に生きる」が開催されました。本イベントは、毎年6月21日に世界各国で開催される国際ヨガデーに先立ち、駐日インド大使館主催によるプレイベントとして実施されたものです。
当日は約180名が来場。会場では、インド哲学の第一人者である丸井浩氏による講演と、ヨグマタによる講話・瞑想セッションが行われ、インドに受け継がれてきた叡智を現代社会にどのように生かしていくかについて、参加者とともに考える機会となりました。
丸井氏は、インド哲学における「ダルマ」や「心の統一」といった思想を紹介し、分断や対立を超え、調和へと導くインドの智慧について講演。続いてヨグマタは、瞑想を通じて内なる意識を目覚めさせ、自らの本質とつながることの大切さを語り、参加者は実際に瞑想を体験しました。
インドと日本に共通する精神文化への理解を深めるとともに、ヨガが持つ本来の意味や価値に触れる貴重な機会となり、両国のさらなる交流への期待が高まる一日となりました。
駐日インド大使 「ヨガが結ぶ、日本とインドの友好」

開会に先立ち、駐日インド大使 ナグマ・モハメド・マリック氏が登壇し、参加者へ歓迎のメッセージを送りました。
マリック大使は、2014年に国連総会で6月21日が「国際ヨガデー」として制定されたことに触れ、ヨガには人と人、国と国、そして心と身体を「結ぶ」力があると紹介しました。
また、インドと日本は、瞑想や慈悲、調和を大切にする精神文化という共通の価値観を持ち、長年にわたり友好関係を育んできたと述べ、日本で多くの人々にヨガが親しまれていることも、そのつながりを象徴するものだと語りました。
さらに、今回のイベントについて、インド哲学の視点からヨガに込められた精神を学び、ヨグマタによる講話と瞑想の実践を通して、その智慧を体験できる貴重な機会であると紹介しました。そして、「日々多くのストレスを抱える現代社会だからこそ、参加者一人ひとりが新たな視点を見いだし、瞑想を通じて心の平安や精神の統一を深めるきっかけとなることを願っています」と期待を寄せ、開会のあいさつを締めくくりました。
インド哲学の智慧を、現代社会を生きるヒントに

続いて登壇したのは、インド哲学の第一人者である丸井浩氏です。
丸井氏は、ともすると難解で理解しづらい「インド哲学」を分かりやすく読み解き、現代を生きる私たちのヒントへとつなげる研究に、長年取り組んできました。
今回の講演では、その一端として、「ダルマ」と「心の統一」という二つのテーマを中心に語りました。
一つ目のテーマは「ダルマ」です。ダルマとは、“本来の役割や調和に基づく生き方”を意味します。丸井氏は、SDGsを例に挙げながら、開発と調和のバランスをいかに取っていくか、そして現代社会がダルマの精神から何を学べるのかについて解説しました。
もう一つのテーマは「心の統一」です。
対立しているものを一つにまとめていくためには、精神が完全に一つになった「ヨーガ」の精神が重要になります。欲望に支配されるのではなく、それを見つめ、コントロールしていくこと。そのためには、瞑想も一時的な体験ではなく、私たちの日々の生き方の中に根を下ろしていく必要があると語りました。
丸井氏の講演は、インド哲学の深い叡智を現代社会の課題と結びつけ、ヨガや瞑想が持つ本来の意味を改めて考える時間となりました。
丸井 浩 氏 プロフィール
東京大学名誉教授、京都先端科学大学特任教授、武蔵野大学客員教授。
東京大学文学部印度哲学印度文学科を卒業後、同大学院修士課程を修了。さらに博士課程に進み、インド・プネー大学サンスクリット高等研究センターに留学し、現地で研究を重ねました。
1992年に東京大学文学部助教授に着任。1999年から2018年まで東京大学大学院人文社会系研究科教授として、インド哲学研究と教育を牽引してきました。
その長年にわたる研究活動と国際的貢献が高く評価され、2017年にはインド政府より「優秀インド学研究者賞」を授与されています。
ヨグマタ 「内なる自分に目覚めることが、持続可能な未来につながる」

丸井氏の講演に続き、ヨグマタが登壇しました。
科学技術の発展によって豊かな社会が実現し、私たちの暮らしは便利になった一方で、現代人は多くのストレスや不安を抱え、本当の意味で心の豊かさを得ることが難しい時代になっています。そんな中、持続可能な社会を実現するためには、社会や環境だけでなく、「人間そのものが成長すること」が不可欠であると、ヨグマタは強調しました。
そのためには、自分自身をコントロールし、「自分が自分のマスターになること」が大切だと説きます。外側に答えを求めるのではなく、自分の内側を見つめ、「自分とは何者なのか」という本質的な問いに向き合い、自らの源に目覚めていくこと。それこそが、愛や平和、調和へとつながる道であると語りました。
そして、その実践の一つが「瞑想」です。
講話の後には、ヨグマタの導きによる瞑想体験が行われ、参加者は静かに自分自身と向き合い、心を整える時間を過ごしました。会場は穏やかな空気に包まれ、インドに受け継がれてきた瞑想の智慧を体感する貴重な機会となりました。

チャイとサモサを囲んで深まる交流


イベント終了後には、駐日インド大使館より、インドの伝統的なミルクティー「チャイ」と、軽食の「サモサ」が参加者に振る舞われました。講演や瞑想の余韻に浸りながら、参加者同士や登壇者との交流も生まれ、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。
参加者からは、「大使館主催のイベントと聞いて少し緊張していましたが、とてもアットホームな雰囲気で楽しむことができました」「日本とインド、そしてヨガを通じた交流の新たなきっかけとなる、記念すべきイベントだったと思います」といった感想が寄せられました。
インド哲学やヨガ、瞑想への理解を深めるだけでなく、日本とインドの文化や人々を結ぶ交流の場としても、本イベントは大きな意義を持つ一日となりました。
