講話録

今わきあがった怒りは「学びの機会」

怒りにもいろいろな種類があります。

単に自分の欲望を満足させたいが周りがそれを聞かないことに腹を立てて怒るという、セルフィッシュな「利己的な怒り」もあることでしょう。

またあの人がこう変わったら良くなるという思いからの怒りや、社会がこう変わったら良くなるのにという社会に対する怒りもあります。

怒りでわかってもらおうとするわけです。自分の価値観との違いに矛盾を感じて怒るわけです。

なぜ思うようにいかないのでしょう。

怒ることは破壊的で良くはありません。冷静になっていく必要があります。そこで単に怒るのではなく、怒りを学びとして受け取ることができたなら、もっと成長につながっていきます。

たとえば、正しい思いであっても力ずくで成し遂げようとすると、相手からの妨害があり、そこに思うようにいかないエネルギーの滞りがあります。そして、怒りの感情がわきます。

それは学びであり、また反省をする機会を与えられたのです。自分勝手で相手の立場を理解していないということ、あるいは状況を読む力が少ないということを理解するときなのかもしれません。自分の思い上がりや、自分が無知であるということを知る機会でもあります。

これは自分のエゴが強いことを知る機会、もっと愛が必要であると知る機会です。このことが本当の幸せへの道なのだと考える機会でもあります。

エゴではなく、もっと愛を持たなければならないことを理解します。それは、生かされていることへの感謝でもあります。すべては必要なことが起きていると理解します。無駄なことはなくすべては学びであり、さらに完成を高めるために何が不足でどうしたらいいのか、気づきを深められるときです。

思うようにならない怒り、「こうしたらいいのに」と相手を変えたいがどうにもならないという思いの怒り、自分を責める怒りなどがわきあがったなら、すぐそのエネルギーに気づき受け入れます。

それは気づきをもたらしてくれます。自分に何が起きたのか、周りに何があったのか、何を望んでいるのか、何が原因なのかと、気づきがあります。成長のため、進化のための気づきです。より一層、進化したいための怒りであっても、怒りが相手を思うがためのものであっても、押しつけと疲れを呼び、本当の成長にはなりません。

それをどう切り抜けたらいいのか。怒りではない気づきにします。すべてを受け入れます。力ずくでは変わりません。そこに抵抗が生じます。

心の仕組みは怒りを通して理解することができます。心の欲望は何なのか。無知は何なのか。気づきは何なのか。生きる意味は何なのか。

理解することが大切です。あるがままに見ることが大切です。ゆるすことが大切です。感謝することが大切です。今ここにいることが大切です。

怒りを通して気づくのです。自分の心に気づきます。人への思いやりに気づきます。

そこに成長があります。

(宝島社「怒りのエネルギーを幸せに変える」より抜粋)

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